卸売業
導入製品 |
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資本金 |
2,500万円 |
従業員数 |
56名 (2021年12月現在) |
対象業務 |
販売管理、購買管理、個別原価管理、予算実績管理 |
広島県福山市に本社を構える株式会社コダマコーポレーションはジーンズカジュアルズのボトムスを中心とした創業54年の専業メーカーです。総合スーパー(GMS) を中心に販売を展開しています。
今回は、代表取締役社長 畠山 直秀様、およびInfiniOne導入プロジェクトメンバーの皆さまにシステム導入の背景や効果についてお話をうかがいました。
展示会の様子
InfiniOneをご導入いただいて1年余り経っていますが、導入の背景について教えてください。
畠山様:
現在のシステムに切り替えるまでは、いわゆるオフィスコンピューター(オフコン) を使っていました。
約30年間、オンプレミスで運用し、COBOL言語によって構築されていたために汎用性が低く、時代と共に進化していったIT環境との親和性は次第に薄れていきました。途中、オフコンからの脱却を試みたこともありましたが、当時はシステムベンダーと折り合いがつかず、既存の環境にミドルウェアを作るなど工夫しながら運用している状況が続いていました。
汎用性の低さ、メンテナンスの高負荷など様々な課題が山積して飽和した状態になった中で、システム入替の一番大きな切っ掛けとなったのはマイクロソフトのOSサポート終了でした。このような背景でクラウド化を前提としたシステム刷新の検討に入り、最終的にFutureOneの InfiniOneを採用しました。
オフコンではEDIの連携を1社増やすにもさまざまなご苦労があったようですが、そのあたりについてお聞かせください。
畠山様:
取引先各社においてもコンピューター化が進み、EDIによって受注自体パソコン経由で受信できるようにはなりましたが、当社のオフコンは複数ある受注発注システムからのデータをそのまま取り込むことはできませんでした。そのため、一旦オフコンの型に変換する作業が発生し、COBOL言語の制約や費用面の負担などを熟慮した結果、システム刷新することを決断しました。
オフコンを運用する上で感じていた課題についてお聞かせください。
児玉様:
以前は東京のベンダーを使っており、担当者に親身になって対応いただいていましたが、バックアップ体制が無く、その担当者が不在の際のシステム障害の対応や夜間に連絡がつかないなどの課題がありました。オフコンは、夜間に締めの処理をする必要があり、システム管理上の大きなネックとなっていました。オンプレミスということもあり夜間のエラーが頻出していた際も非常に苦労をしました。
畠山様:
補足しますと、オフコンは毎日日付が変わるタイミングで締め作業が発生し、大型機の場合は3~4時間掛かり、かつ午前0時を超えるとその締め作業ができなくなり、翌日以降に一気に処理する運用となっていたのが負担でした。「締め」との関係で、どうしても夜間対応が発生し、人的配置の面でも不自由さを感じていました。
そのようなオフコンで抱えていた課題からシステム刷新を検討されたとのことですね。システム選定の条件についてお聞かせください。
畠山様:
まずは当時のシステムベンダーに声を掛けましたが、スケジュールや体制面での折り合いがつかず、他社を含めての検討を始めました。旧システムのハードウェアサポートをしてもらっていたベンダーも検討対象にいれましたが、自社アプリケーション開発の実績に乏しく、こちらも見送らざるを得ませんでした。
また、旧システムを汎用性のあるプラットフォームに移行することも検討しましたが、コンパイルされブラックボックス化されていたために断念することになり、最終的にはアプリケーション開発の実績、構築期間の短さ(コンポーネントの組み合わせ)、安全性(バグがすでにつぶしてある)、システムの柔軟性(他ソリューションとの連携) を選定条件とし、FutureOneを含めた数社の中から具体的な検討を進めました。
数社検討されていた際に、弊社よりも安価で提案されていたベンダーもいましたが、金額差がある中で弊社を採用していただいた決定的なポイントをお聞かせください。
畠山様:
やっぱり、堅牢度と安心感ですね。
基幹システムですので、問題が発生すると長期に渡っていろんな影響がでますので、まず「安心感」が大事でした。
費用が安くてもFutureOne以外のベンダーの提案からは問題が多くなる懸念が拭えず、FutureOneの提案は金額的に一番安くはなかったが折り合いがつく範囲内であり、実績のあるパッケージをベースにカスタマイズできる柔軟性をもっていたので、最近の言葉じゃないですが 「安心・安全」を最優先して採用しました。
システム構築中のご苦労や良かったことについてお聞かせください。
山内様:
基幹システム刷新の任に就いてからFutureOneと仕事をするようになりました。以前は大きなビジョンはあるものの、実際には私も入社以来25年感慣れ親しんでいた旧態依然としたオフコンから新しいシステムに移っていく不安感、便利になっていく理屈は分かっていてもなかなか意識改革が進まないところがありましたが、今回はFutureOneがサポートし形づけてくれたのは良かったと思います。
それまで正しいと認識していたことが、今の時代ではシステムにやってもらう、我々は先に進んで次の仕事をするためにこのシステムを使うんだ、という意識改革の実現も含めて開発・納品してもらい、実際にその通りになった。という部分が苦労でもあり、ありがたさでもあります。
田和瀬様:
苦労話となりますと、プロジェクトメンバーの中ではシステムに詳しい訳ではないが、オフコンの運用を知る立場でプロジェクトに参加していました。
慣れ親しんだオフコンの用語を新システムの用語に変換して伝えるのに苦労をしました。FutureOneの力を借りながら理解していき、おかげでオフコンよりシステムに対する理解が深まり、担当する東京支店においてもプロジェクトで経験したノウハウを浸透させることで能率が上がったという実感もあります。
要件定義フェーズを通して率直なFutureOneの印象をお聞かせください。
畠山様:
正直、「お若いな、大丈夫かな」と思ったことはありましたが、問題なく形になったので「大したものだな」という印象になりましたね。
こちらのチームも若いメンバーがいて若い者同士で意思の疎通が取り易かったのは良かったと思います。
山内様:
現場レベルとしたら、FutureOneは職人気質なところがあると感じました。同じゴールを目指していて、結果的にFutureOneが提案してくれた方法が正しかったのですが、業務プロセス一つとっても、「古いカーナビ」を使っていた我々にとっては大回りをしていても、それが正しいルートでした。その回り道に合わせてくれた方が、業務の安全性が保てると信じていましたし、移行も楽だと考えていました。しかし、そのような要望を極力考慮しつつ、最初から「新しいカーナビ」で当社にとってより良く、効率の良い道があることを示してくれ、こちらが理解するまで根気よく説明してもらい、最終的に最も良い判断をしてくれていたのは今思うと、非常に感謝しています。
導入フェーズ~本稼働までのご苦労や良かったことについてお聞かせください。
山内様:
一番良かったのは、意識改革ができた点です。今はそういうのはもう「仕事」と呼ばないのでしょうけども、それまでは、10ある時間の内、意思決定をするための資料作りに8、残りの2で考えるという状況でした。 InfiniOneを導入し、分析機能オプションを追加してきましたが、現在は10の割振りが作業に2、残りの8で「本来の仕事」 に有意義に使えるようになったのが一番大きな変化だと思います。
児玉様:
回り道をしていた従来のやり方を、正しい方向にもっていってもらえたのは良かったと思います。その過程で現場からでてくる多岐にわたる質問に対しても、すべて明確な回答を提示してもらえており、今は安心して前向きにシステムを活用できています。オフコンですと、ブラックボックス化されていた部分があり、一旦解消されたエラーも原因が不明なままの場合があり、利用し続ける上で不安が付きまとったままでした。
田和瀬様:
これだけ大掛かりなシステム導入にも関わらず、障害の発生が少なく済んでいると思います。現在、システムがスムーズに稼働しているのは、ひとえに要件定義~導入に掛けての過程で障害発生を未然に防ぐための迅速かつ的確な準備が功を奏したからだと思います。
畠山様:
そうですね。他の経営者やシステム会社と当社のシステム入替について話す機会があった際にも障害の少なさには驚かれるくらいでしたのでありがたかったですね。
マスターの移行は大変でしたね。
児玉様:
単純にデータを移行すれば済むという訳にはいかず、古いデータを棚卸して整理、さらには修正、と膨大な作業を要しましたが、そのおかげで新システムの稼働はマスターがきれいな状態でスタートが切れ、障害の少なさにもつながっているのだと思います。
導入効果についてお聞かせください。
児玉様:
問い合わせ対応や日次の締め作業など業務全般において、時間は短縮されていると実感しています。また、オフコンでは不可能だったマルチタスクも可能になりましたので、作業効率が上がって非常に便利になりました。
山内様:
旧システムと比較して150%のデータ量であれば現在の体制でも問題なく処理できると思います。時間的短縮メリットは普段から計っていませんが、仕事一つ一つの精度と余裕に少し幅が出てきたと感じます。入力ミスなど忙しさから生まれるヒューマンエラーは減ってきておりますので、当然のように定時で業務が終わり、仕事量が120%、130%になっても変わらず定時に終わる、というのが当社が現在持っている会社としての余力だと思っています。仕事量が増えたとしても終われる。現場の皆さんに精神的、肉体的、時間的な負荷が掛からない状況でも仕事量が増える状態、これは「効率」だと思っています。 そういった意味でも、今回導入したシステムは大きく貢献していると思います。
オフコンとの並行稼働期間までは、まだ不慣れな部分もあり、現場からはオフコンの方が使いやすいという声があったのは確かですが、本稼働後は日に日にInfiniOneの方が良いという声に移り変わりました。先程、児玉の方からもありましたが、現場が率先してシステムの有効活用に取り組んでいる現状は会社にとって非常に大きいことだと考えています。
導入に至る過程で、オフコンから脈々と受け継がれていた業務フローを極力継承しつつ、最適なパッケージを納品してくれたので現場のスムーズな移行が実現できたのだと思います。
畠山様:
実績のあるパッケージを採用することで、無駄なバグ対応もなく、短納期が実現できるという見通しは正しかったということですね。
スクラッチ開発で一から開発したらバグつぶしだけでも半年は掛かったのではないかと考えています。
他システムとの連携についてお聞かせください。
児玉様:
以前は連携先を増やす場合はその都度、費用の発生、検証や承認のプロセスが必要でしたが、現在はFutureOneに選定してもらったミドルウェアパッケージを含めた「型」が確立していますので、データの並び替え程度の作業で連携先を追加することが可能になりました。
特にJCA手順を利用していた取引先を移行できたのは非常に効果が大きく助かっています。JCA手順の場合は、エラーが起きた際に中身が見えないため、対処に時間が掛かっていましたが、現在はデータが見えているため、速やかな原因の特定と対処ができるので非常に効率的になりました。
システム導入後の現場への影響についてお聞かせください。
児玉様:
エラー発生時の効率が大幅に改善されました。旧システムでは、社内のサポート部門でしか対処できない問題が多く問い合わせが頻繁にあり 、その都度現場まで行って対処する必要がありましたが、そのような業務はほぼなくなりました。現在は、サポート部門で対応の必要があるような問い合わせは減り、現場にいる者同士コミュニケーションを取って、ナレッジを共有しながら主体的に業務の改善が進んでいる状況です。
畠山様:
現在はオフコンから脱却し、基幹システムをクラウド化することによって他のソリューションとの連携もできようになりましたが、当社規模の企業にとっては非常に大きな決断でした。しかし、オフコンでの運用が限界に達し、費用面で大きな負担になる中で下したその決断は未来を見据えた時に大きなアドバンテージにもなると考えていました。簡単な決断ではない分、他の企業が今から動いても当社と同じ立ち位置になるには数年は掛かりますからね。この厳しい時代の中で生き残っていくためには、「一歩でも先に更なるIT化を進めていけば、もっと他社との優位性を担保できる」 という考え方に基づく決断と投資が実を結ぶと確信しています。
他にクラウド化に踏み切った要因はあったのでしょうか。
以前は情報漏洩のリスクを考えてデータは自社で持っておきたいという考えでした。しかし、今後システムへのモバイルアクセスが増えて多くの端末が同時接続されることが日常的になっていくことが明らかな状況の中で、ウィルスなどの脅威は自社で対応するよりもセキュリティ対策が確立されたプラットフォームにシステムを置く方が圧倒的に安全だと考えるようになったのもクラウド移行の動機となりました。
クラウドは基本的に利用時間が決まっているため、そこに合わせて業務が終わるようになってきたのは良い副産物ですね。業務の効率化に向けての意識改革にもなったのだと思います。
本稼働後に経営レポート機能(分析機能) をアドオンさせていただきましたが、効果のほどはいかがでしょうか。
畠山様:
オフコンは数十ものプログラムを組んで成り立っていた経営レポートを、新システムでは従来のユーザビリティを再現しつつ、取捨選択をし、シンプルで実用的な機能として搭載され営業の活用度が上がったのは非常に良い効果だと思います。
田和瀬様:
以前は日次更新、月次更新のタイミングでしか数字を見ることはできませんでしたが、現在はリアルタイムで分析できるようになりましたので、余計な作業が大幅に減り、判断の迅速化につながって営業としては助かっています。
山内様:
経営レポートのアドオンはコスト面を含めて当社にとっても簡単な判断ではなかったと思いますが、営業を含めてオフコンに搭載されていた機能を取捨選択し、全員で活用する意識が高まったという経緯がありました。そのため、導入後は良い形で活用できていると思います。
田和瀬様:
現在は全員がいつでも同じ数字を見ることができるというのも大きな効果だと思います。各営業も個別に活用方法を発展させて、自分独自の分析をもって得意先の提案に活用するようにもなりました。
畠山様:
現在は導入に関わったメンバーに集中しているノウハウの全社員への展開を進めており、戦力の底上げに努めています。
基幹システムと分析機能が分かれていたのを統合した効果についてお聞かせください。
山内様:
結果的には統合してよかったと思います。システムが分かれていた時はデータを取り込む工程にデータ準備の専任者を配置しており、当時は正しいと思っていた業務フローでしたが、当社の業務と考えをしっかりと把握した上で基幹システムと分析機能の統合という、より良い提案をしてもらいました。ここでも意識改革が進んだと感じていますし、その結果、専任者の削減と業務フローの効率化が実現しました。
今後の展望についてお聞かせください。
畠山様:
脱オフコン、効率化を実現がOCRやAIなどの技術をどんどん活用すればまだまだ改善できると考えています。そのためにも土台となる基幹システム周りの全社員活用を優先しているところです。一番欲しい機能は、「次のシーズンに何が一番売れるのか」ですが(笑い)
今回のシステム導入を振り返っていかがでしたでしょうか。
田和瀬様:
導入まで目線を合わせてくれたのが功を奏したので、稼働後もシステム活用支援のようなサービスがあれば、全ユーザーのスキルアップが促進されると思います。
山内様:
当社のような規模であってもしっかりと向かい合い、目線を合わせ、要望を理解し、求めるものを提供してくれたことには感謝しています。おそらく今後10年、20年も当社に寄り添って成長をサポートしてもらえるのではないかという可能性と姿勢を感じています。
畠山様:
ユーザーとベンダー、かつデジタルの世界ではクールな関係性が普通だと思いますが、アナログな世界も大切だと考えています。
今回の導入プロジェクトでFutureOneは良い意味でインパクトを与えてくれましたので、行く末も面倒をみていただきたいですね。
要件定義のお打合せでは、オフコンで個別に実装されている機能も多く、どこまで弊社のパッケージを活用頂き、またどこまでをカスタマイズで対応していくか、実際の業務をイメージしながら、慎重に議論を重ねました。
畠山社長からアナログな世界も大切、というお話を頂きましたが、まさに今回はコロナ禍でのシステム導入でありましたので、直接お伺いして現場の方の生の声を聞くことができない場面もありました。特に訪問が出来ない間は、プロジェクトメンバーの皆様が、現場の方の声を広く集約し、また現場の方への意識改革も率先して図って頂き、アナログの部分をカバーすることが出来ました。離れていてもまさに『One Team』でプロジェクトの成功に繋げることが出来ました。
普段の業務と並行しながら、システム稼働にご尽力頂いた皆様に心より感謝申し上げます。
今後も、コダマコーポレーション様の「今」そして「未来」を支えるシステムであり続けられるよう、継続的なご支援に努めてまいります。
企業名 |
株式会社コダマコーポレーション |
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所在地 |
〒729-3101 広島県福山市新市町戸手634-1 |
業務内容 |
カジュアルウエアの企画、製造、販売 |
代表者 |
畠山 直秀 |
創業 |
1961年6月 (昭和36) |
URL |
https://kodama-web.net/ |
※記載されているお客様情報については、2021年12月時の情報です。