「ERP・基幹業務システムの導入・刷新に向けて、RFP作成したい方」
「ERP・基幹業務システムの導入・刷新の流れを理解したい方」におすすめのコラムです。
「RFPを作成しない」「ベンダ選定はしない」という方は、その期間を適当な期間に置き換えてお読みください。
その他は、お役に立てる内容になっていると思います!
「RFP作成~システム本稼働」までにどれくらいの期間が必要なのでしょうか?
いきなり結論になりますが、「1億円ほどの規模の当社システム(ERP)導入」ですと、17~19ヶ月ほどが多いです。
また、実際は、RFP作成以前に、「システム導入・刷新の承認を得る『企画・承認フェーズ』」があります。
それも加味すると、18~21ヶ月ほどの期間が必要です。
発注者が期間を見積るときの傾向
我々の実績をもとに、一般的な期間をご紹介しましたが、この期間についてどのように感じられましたか?
「長いな・・・」と感じられた方が多いのではないでしょうか。
私の経験上、発注者はシステム本稼働までの期間を短く見積る傾向があると感じています。
ですので、「長いな・・・」と感じられた方は、注意が必要です。
もちろん、発注者は「ITのプロ」ではありませんので、この傾向は仕方がありません。
この傾向を生む、よくある要因を意識していただくことで、妥当な期間の見積ができるようになります。
<よくある要因>
発注者が期間を見積るときにすべき2つのこと
見積期間の精度を上げるために、ぜひ、やっていただきたいことが2つあります。
まずは、システム導入の流れ・工程を知り、本稼働時期から逆算して期間を決めることです。
本コラムを参考にして、期間を作成してみてください。
この期間は、「たたき台」ですので、精度などは気にすることなく作成することが重要です。
そして、たたき台をもとに、「システムベンダに相談します」。※まずは1・2社くらい
この理由はシンプルで、「システム構築期間はベンダに訊かなければ、わからないから」です。
最大の期間を要するシステム構築期間が妥当なものでなければ、見積期間の精度がガタ落ちになってしまいます。
しかし、発注者側は「いつベンダに相談すればよいのかわからず」、相談できない方が多いのも事実です。
その結果、期間ギリギリになって相談する、RFPを提示するといった事態に陥る場合が多くあります。
ちなみに、ベンダとしては、多くの場合「短い期間=リスクが高い」と判断します。
そして、中には「提案依頼は受けない」と回答するベンダも出てくるでしょう。
ベンダも「システム導入の成功に向けて、余裕を持った期間でプロジェクトを進めたい」と思っています。
ですので、「とりあえずの期間」でも構わないので、相談してほしいと考えています。
発注側もベンダも「Win-Win」そして、「システム導入を成功させる」ためにも、早い段階で相談してみましょう。
「システム導入の流れ・工程を理解し、本稼働時期から逆算して期間を決めること」が大事です。
逆算しやすいように、逆の順序で解説していきます。
「全体の流れ」「各工程でやること」「必要な期間」などをご理解ください!
⑤本稼働
本稼働時期を明確にしましょう。(最も重要なポイントです!)
一般的に、本稼働時期が決まるポイント(タイミング・イベント)としては、下記のようなものがあります。
これらを理由にシステム導入・刷新を行う場合は、本稼働期間は明確になります。
<本稼働時期が明確になる場合>
一方、「より効率的に業務を行いたい」「もっと業務に対応できるシステムを導入したい」のような場合もあります。
この場合では、明確な本稼働時期を示しづらいので、”希望”の本稼働時期を決めます。
「”希望”と言われても・・・」と思われる方は、
「経営計画、事業計画」や「(会社・部署・チームの)目標」などを基に、希望の本稼働時期を決めるのがおすすめです。
つまり、計画遂行・目標達成をするためには、
「いつまでにシステムの効果を享受したいのか?しなければいけないのか?」を考えて、希望の時期を決めるのです。
④システム構築
システム構築期間は、「システム規模・範囲」「種別(独自開発・パッケージソフト)」などによって、大きく変化します。
ですので、とりあえず、【12ヶ月】ほどで見積もっておいてください。
③ベンダ選定
ベンダ選定に掛かる期間は、【2~3ヶ月】ほどです。
ちなみに、「システムの規模・範囲」などに関わらず、2~3ヶ月ほどが多いように感じます。
※時間を掛けたからといって、よいベンダを選べるわけではない
ベンダ選定の流れと期間は、下記の通りです。
A.提案書の作成(ベンダー)
RFPを受領して提案書を作成、社内承認を得るまでに、【1~1.5ヶ月】は掛かります。
※他社のベンダーでもそのくらいの期間が一般的だと思います
B.提案書の評価
ベンダから提示された提案書を評価します。
【1~2週間】の間で行い、3社ほどに絞るのが一般的です。
まずは、提案書を評価者各自で読み込みます(提案書を理解します)。
その後、評価者を集め、議論・評価を行います。
各自で読み込みを行う前に評価軸を決めておくと、「読み込み」「議論・評価」がしやすくなります。
また、「読み込み」「議論・評価」は、間隔を空けずに実施することをおすすめします。※可能ならば、同日がよい
C.プレゼンの評価
ベンダにプレゼンを依頼し、評価します。
「プレゼン視聴」「議論・評価」を【1~2週間】で行います。
これも、事前に評価軸を決めておくことで、「プレゼン視聴」「議論・評価」がしやすくなります。
D.ベンダ決定・稟議
【1~3週間】で、稟議・決裁書の合意を得ます。
事前に、自社の決裁ルート(”いつ”・”だれ”が決めるのか)を確認・明確にしておくことが重要です。
※例:◯◯円以上は、取締役会決議となる など
稟議に、時間が掛かり過ぎてしまうと「スケジュールの見直し(通常は延期)」「費用の再見積」などが発生する可能性がありますので、注意しましょう。
②RFP作成・提示
A.RFP作成
「システム導入・刷新の目的・背景」「業務要求」「技術・運用要求」などをまとめてRFPを作成します。
※作成の詳細については本コラムでは割愛します。RFP作成手法の詳細は主催のRFPセミナー(講座)でお伝えしております
A'.RFI発行(候補ベンダのリストアップ→RFI→面談)
RFPを作成する過程で、RFI(情報提供依頼書)を発行することがあります。
ベンダに「製品情報(概要・パッケージの有無など)」「実績」「概算期間」「概算費用」などの情報提供を依頼します。
また、RFI回答をみて熱意があるベンダとは、面談を行います。
※候補ベンダのリストアップについては、下記を参照ください
B.候補ベンダのリストアップ・面談
「システム化する業務についての知見・実績」「パッケージの有無」などを焦点に、候補ベンダを探します。
「取引のあるベンダへの連絡」「ネット検索」「セミナー参加」などを行いながら、5~10社前後でベンダをリストアップします。
また、既存のシステムベンダがいる場合には、声を掛けておきます。
C.RFP提示・Q&A
作成したRFPをベンダに提示します。
提示方法としては、「個別での提示」「説明会を開催しての合同提示」などがあります。
また、提示後は、適宜、ベンダとのQ&Aのやり取りを行います。
Q&Aの方法・方式は、事前に決めておくとやり取りがスムーズです。
①企画・承認
システム導入・刷新の大まかな規模、コスト、期間を想定します。※期間は「希望本稼働時期から逆算」します
そして、システムベンダに相談を行います。※「早い段階でシステムベンダに相談」します
その後、システム導入・刷新を行うことについて、社内で承認を得えて、プロジェクトを始動させます。
「逆算したら、間に合わないけど・・・」という方も、いらっしゃると思います。
その場合の対処方法について、解説します。
①希望の本稼働時期を遅らせる
まずは、希望の本稼働時期を遅らせられるか否かを検討します。
※が、ほとんどの場合、「遅らせられない、遅らせたくない」とお思いでしょうから、次をご覧ください。。
②システム構築する範囲・対象業務を減らす(段階構築の検討)
範囲・対象業務を減らすことができれば、システム構築期間を短くすることができます。
また、システム構築による効果などにより、優先順位をつけ、段階的に構築できないかを検討します。
③パッケージソフトに業務を合わせる
パッケージソフトに業務を合わせることができれば、システム導入期間を短くすることができます。
だだし、②・③については、発注者独自で検討・判断することは難しいと思います。
ですので、専門家であるシステムコンサルタントやベンダに相談することをおすすめします。
システム構築期間にばかり目がいってしまい、RFP作成・ベンダ選定に掛ける期間が短くなってしまう。
そして、議論を十分に尽くさないまま、システム・ベンダを選定してしまった。
その結果、自社の業務にフィットしない、効果が出ないシステムとなってしまい、プロジェクトが失敗してしまったというケースはよくあります。
この失敗を防ぐためには、システム導入・刷新の「全体の流れ」「各工程でやること」「必要な期間」を理解し、あらかじめ余裕を持った期間を想定することが重要です。
さらに、システム構築期間だけを考えるのではなく、その前段階である「RFP作成」「ベンダ選定」の重要性を認識し、議論を尽くせる期間を確保するようにしましょう。
システム化計画の作成やRFPの作成でお困りの方は、お気軽にご相談ください。